2013年2月21日木曜日

亜土のおしゃれ料理 水森亜土



亜土のおしゃれ料理
水森亜土 著
潮文社
昭和53年11月初版

::: 私物 :::











◇ カバー絵・挿絵 / 水森亜土 ◇

「うちの家風は、どうもくいしん坊にできてまして、ダンナの書く芝居も、必ず食べものが出てきます。食べることへの情熱、即、お料理の道! みなちゃま、がんばってー。」 (あとがきより抜粋)

昭和50年代に出版された水森亜土さんと石井好子さんのコラボレシピ本シリーズ。
これは昨年、文庫本で復刊されました。
今回ご紹介するのは、やはりこちらも昭和50年代に潮文社から出版されていた単行本「亜土のおしゃれ料理」です。
料理写真は無く、亜土ちゃんのモノクロのイラストと文章のみのお料理本ですが、それも身近にある材料でパパっとできるものが大半で、どれもこれもおいしそうなのです。

年中行事を大切にしている亜土ちゃんの四季折々の料理や、家庭にある材料で手軽に作れるおかずやごはんなど、毎日の献立に役立つこと間違いなしのおすすめの一冊。

いくつか挙げてみますと・・・
これからいちばん近い年中行事といえば、雛まつり。亜土ちゃんのお雛様は、戦時中に疎開させてあったので焼けなかったのだそうです。
このお雛様を前に、椎茸・人参・れんこん・錦糸玉子がたっぷり入ったちらしずし、亜土ちゃんの大好物だという貝類のおさしみやはまぐりのおすまし、菜の花のおしたし、生ゆばのお煮しめ、などなど純日本風のコース料理が並べられます。

それと、必ずやらなくてはいけないと亜土ちゃん家の家訓になっているという、九月の十五夜と十月の十三夜。
上新粉と白玉粉とお水でこねて作るお月さまへお供えするおだんご(上新粉と白玉粉の配合にこだわりがある)、枝豆・きぬかつぎ・さつま芋・栗などたくさんの茹でもの、それに柿・ぶどう・梨・リンゴといった秋の果物とすすきをお供えします。
これだけの準備でもすごいと思うのに、亜土ちゃんのお料理熱はまだまだ続きます。栗おこわを炊き、ぎんなんや野菜たっぷりの自家製がんも、れんこんのきんぴら、焼き魚、などなど、読んでいるだけでぐぐ~っとおなかが鳴りそうなおいしそうな献立がずらり。
この本を読むたび、季節ごとの歳時、年中行事を大切にしていきたい、と思います。






















見返しには、未来劇場の女優さんでもある亜土ちゃんが、劇中に歌うという「スープの歌」の楽譜があったりと、亜土ちゃんファンにはたまらないどこまでもかわいいお料理本です。

寒い冬の夜、雪の降る夜、みぞれの降る夜、冬のわびしい雨の降る夜
本もあきたし、テレビもきょうはみたいものもない、編みものもする気になンない。そんな夜、スープでも作ってみませんか。 (「一人ぼっちの冬の夜長」より抜粋)

夜の時間だけを使い、ストーブで三日がかり煮込む野菜スープ。これに、パンの匂いがプンプンする焼き立てのフランスパンをちぎりちぎりいただくのだそう。
いまの寒い季節にぴったりのメニューです。

かわいいだけじゃない、楽しくて実用的な「亜土のおしゃれ料理」です。