2013年2月15日金曜日

私のコーヒー・スケッチ 文藝春秋編



私のコーヒー・スケッチ
文藝春秋 編
昭和59年9月初版

::: 私物 :::












毎朝飲むコーヒー、仕事の合間の休憩時間に飲むコーヒー、外出したときちょっと立ち寄るカフェや喫茶店。みなさんのいつものお気に入りのコーヒータイムはどんな感じでしょうか?

この本は、全日本コーヒー協会が主催の「私のコーヒー・スケッチ」と題したコンテストのエッセイ部門に全国から応募された約一万通もの作品の中から、“コーヒーと人々との触れ合い”をテーマに50篇を選んでまとめられたものです。

いちばん最初に掲載されているエッセイ「芝生で飲むコーヒー」から。

このところ、私たち夫婦は、お天気さえよければ皇居前広場へサイクリングに出かけます。そこで、初冬の午後の陽を浴びながら、持参したコーヒーを飲むのが、日課となりました。どこでも売っているインスタントのコーヒーなのですが、夫は「同じコーヒーなのに、どうしてこんなに旨いんだろう」とその度にいうのです。「それは、青い空がうつっているからじゃない」と、ちょっときどって答える私も、家で飲む味より、ずっとおいしく感じます。

これは、ある定年を迎えた夫婦の素敵なコーヒーのお話です。
50篇もの作品を読んでみて、人それぞれにコーヒーとのかかわりがあり、いろんな物語があるものなのだとしみじみと読み入りました。

この中に出てくる私が気になるコーヒー。それは、戦前にあったというセロファンにくるまれた箱に入ったコーヒー粉入りの角砂糖。イメージでは、ブランデーをしみこませた角砂糖(少し前まで「カフェロワイヤル・ブランデーシュガー」というものがあったのですが、販売終了となってしまったようです)のような感じかなと想像しています。
それで、その戦前の「コーヒー粉入りの角砂糖」をカップに2個入れ、長火鉢で音をたてて沸いている熱いお湯をそそぐ。それは、薄い茶色のお湯のようなものになるらしいのですが、どんな味わいなのか。薄そうな気がしますが、飲んでみたかった。

「私のコーヒー・スケッチ」。コーヒー党の方におすすめの一冊です。
比較的入手しやすい古本ですので、機会がありましたらぜひ。